肖像画クラファンに挑戦したのは2021年の9月17日。
カラーの油絵を鴨頭明子さんに買っていただき、明子さんは、その日すぐにお父様のお写真データを送って下さいました。
油絵は乾燥するのに時間がかかるので、すかさずモノクロで、描き始めました。
ある程度モノクロで描けたので、乾かすためにアトリエのイーゼルにそのまま置いておきました。
クラファン期間中は追加リターンを考えたり、宣伝したり、と色々忙しく、
直筆のお手紙、ポストカード額、鉛筆デッサンと油絵以外のリターン制作にかかりっきりの半年間でございました。
というわけで、
油絵のリターンに再びとりかかれたのは2022年の3月の後半…。
半年ぶりにアトリエに戻り、(鉛筆デッサンは自宅で制作していました。)
明子さんのお父様の色付けをいざスタートしようと、筆を走らせると
何やら聞こえてくるのです…。
「早く会わせて…」
「あっこに会わせて…」
絵の中のお父様が私に訴えかけてくるではありませんか……。
私は脂汗が出てきて、
「ごめんなさい…。
今まで半年間もそのままの状態で待ってくださってたんですね…
本当にごめんなさい。」と、ひたすら謝り続けました。
一刻も早く納品しなければ…。
焦る気持ちと、喜んで貰えるよう、自分が今できることは何なのかを考えながら、日々筆を走らせました。
やっと色付けも完璧に乾いたので、無風の青空のもと、作品を保護するためのニススプレーを吹きつけました。
絵の中のお父様も心から喜んでくださってるのが分かりました
無事に発送し、叔母さんのお通夜に行こうと準備していたら…。
背中がゾクゾクと寒くなり、めまいがしてきて、
これはアウトだ…
と布団に入って爆睡し…。お通夜にも行けず、そのまま、朝の4時まで12時間眠り続けました。
そのおかげで体力が回復し、翌日の叔母さんの葬儀には無事参列できました。
そして、
帰りの車の中で、明子さんから「無事届きました!」との連絡を受けた私は、
思わず、嬉しくて、「やったー!」って大声を出して叫んでしまいました
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まりちゃんのすごい絵が私と母を最高に幸せにしてくれました!箱開けた瞬間実家は大騒ぎだったそうです。
『笑顔がおなじ!生え際まで似ている!笑った口元がおなじ!服の色もすごくいいー。この大船渡の方にお礼を伝えてね。』とのことです。
震災で実家がダメになり、2年間宮城古川に両親は避難していました。
やっと家を直すことができて、父は古川から石巻に外壁のペンキ塗りに通っていました。
もうすぐ、ほんと間もなく実家に戻れるというところで肺炎にかかりあっという間に2週間で亡くなってしまいました。
なので震災以来、実家に戻れていないんです。
津波のあと、ずーっと悔しい悔しいって言ってました。
この茶の間に飾られたお父さん見たら
あーお父さん帰ってきたかったんだなあって。
そうだよな、これからやっと家でなんとか楽しんだりゆっくりしようってところだったもんなあ。
お父さん帰れてよかった。
お母さんのもとにいけてよかった。
私は父が亡くなっても父のことが大好きだし、きっと父が世界で2番目に好きなのは私だろうし
お互いの思いは変わらないと思っていて
幸せだと思っていたんです。
でもこうやって帰ってくることがお父さんの望みだったんだなあ。
父がとっても嬉しそうです。
ほんとにありがとう。
それはそれは狂喜乱舞の大騒ぎだったみたいですよー。
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お母様の笑顔のお写真、明子さんの喜びの声を聞いて、
本当に心から絵を描いてきて良かった…って思いました。
お母様が絵を茶の間のど真ん中に飾ってくださっているお写真も本当に嬉しかったです。
明子さんこの度は本当にありがとうございました