中学校で美術の非常勤講師をしています。
細軸のペンだけで
小さな小さな🐜が歩くくらいの
ゆっくりとした速度で線を引き続ける授業。
線を増殖させることで、
自然に画用紙が埋め尽くされていく
「線の模様」という授業があります。
その授業は、
導入のあとに
とにかくゆっくりと
手を動かしながら
無意識に、永遠に描いていける線を
色々と描いてもらい、
その中から、わたしと一緒に、
その生徒だけの線を見つけ出すことから始まります。
なんの抵抗もなく
美しい線をどんどん見つけ出す生徒には
「もう、見つかったみたいだから、画用紙にいってみようね・・・」
と、さりげなく声がけして
画用紙に描き始めてもらうのです。
が、
そこで、たまに、こんな生徒が現れます。
声がけに対して
生徒 「わたしはまだ、画用紙に入る自信がありません・・・」
わたし 「??? な、なんで?」
生徒 「だって・・・、、、、何も考えずに描いている線だから・・・
こんなのを画用紙に描いていっていいのか、・・・不安なんです・・・」
!!!!!!! えーーーーーーーーーー! そ、そんなーーーーーー🤣
まさしく!!!
それこそが、この授業の目指すところであり、殆どの生徒が
そこにたどり着くまでに、ある程度の時間を要するというのに・・・。
わたし 「まあ・・・無理やり画用紙に描いてもらう訳にもいかないから・・・
画用紙はここに置いておくから・・・気が済んだら、描き始めてね・・・」
と、言い残しその場から立ち去ります。
その後、
遠くから、その生徒の様子を伺っていると・・・。
少しだけ困ったように、首をかしげながら、
やっと、画用紙に描き始め、
しかし、すぐに、とても美しい顔になり、無心で
描き続ける姿に感動を覚え、ほっと胸を撫で下ろすのでした・・・。
「意識して、よく考えて、行動すること」
と長年、教えられてきた生徒たちが
無意識に行動することに、
最初、戸惑ってしまうのは
当然のことです。
地面の上を歩いていたのに
いきなり、空中に放り出されるような感覚・・・とでもいいましょうか・・・・。
ただ、何回も言っていますが
「中学生は天才」なので
無意識の世界に入り込んで、
線をゆっくりと引くというたった一つのルールを守ることで
得られる無限に広がる自由を獲得し、
自由の中で遊び始めることは
極めて簡単で、ハードルの低いことなのです。