絵は線が集まってできたものです
絵を描く時にはまず1本の線を引き、また次の線を引き、そのまた次の線を引く
この線を連続して引くことで「絵」はできていきます
実は 線というのは
その人そのものを表しています
中学校で美術の非常勤講師をしているわたしは生徒たちの引く線にいつもそれを感じています
1年生の版画の授業で彫りの練習をしてもらう際にシナベニヤの裏面に
木目に対して垂直に3本の線を鉛筆で引くように指示を出します
すると、面白いくらいバラエティに富んだ色んな線を生徒が引きはじめるのです
体格が良くて元気のある男子生徒が、すごく短くて繊細な線をキッチリ引いたり
無口で大人しそうで小柄な女子生徒が、板からはみだすような力強い大胆な線を引いたりします
要するに外見だけではわからないその生徒の本当の姿が線となってあらわれてくるのです
大袈裟だと思われるかもしれませんが、その人の本質がすべて現れるといっても過言ではありません
線でできているのが絵です
絵は線の集まりでできています
その人がどんな線を引くのか?
ということでその絵が決まるわけです
で、ここで、例えば
太い筆(平筆)だけで絵を描いていく、面で画面構成をしていく絵描きさんの場合はどうなるのか?
というと
やっぱりその絵描きさんの「平筆の太い線」がどんな線なのか?
で、絵が決まるわけです
で、線でできているのが「絵」ということで
その1本1本の線が「生きているか」
はたまた「そうでないか」で
絵の勢いや美しさというものが全然変わってきます
で、昔の素晴らしい絵描きさんの絵っていうのは
「線が生きている」わけです
物凄く、生々しいほど、生きている
で、生きている線だけで構成されているので当然「泣きたくなるほど」絵が美しくなるわけです
そして残念なことに、例えば、それとは反対に
「あれ?なんでこの絵って、あまりエネルギーを感じないんだろう・・・」とか
「なんだか元気のない絵だなあ・・・」などという印象のある絵は
画面を構成している1本1本の線が生きていないから・・・そのように見えるのだと思います
ここで言う「生きていない線」とは
線を引く時の絵描きさんの気持ちがピュアではない場合が多いのではないかなあ・・と思います
例えば
「上手く描きたい」
とか
「この絵は人からどんな風に見られるだろう?」
とか
「この絵を描いたら先生は褒めてくれるだろうか?」
とか・・・
元気のない絵というのは
大概、その絵描きさんが、他人軸で物事を考えている場合が多いです
やっぱり美しい絵(線)というのは
上手く描こう とか
どう思われるだろうか? とか
一切考えずに
その絵描きさんのそのまんまの
喜びだったり悲しみだったり
色んな感情そのままが乗り移ったような美しい生き生きとした生きている線
そういう線を引ける絵師さんというのは素晴らしい絵を描きあげることができると思います
「自分が引く線とは一体どんな線なのか」
それをじっくりと見つめてみるのもいいんじゃないかなあ・・・と思いました
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