中学校で美術の非常勤講師をしています
2年生の2学期にピーマンをモデルにして粘土で本物そっくりに作るというお勉強をします
スーパーでできるだけ筋肉質のピーマンを探して買ってきたものを(地元農家さんのピーマンが望ましい)
生徒に選ばせて紙粘土でモデリング⇒オリジナルピーマンカラーで着彩⇒ニスを塗って完成
となります
「ピーマンの筋肉大会」と称するこの授業は
どれだけ美しいピーマンの筋肉を 丁寧に 見て 感じて どれだけマッチョピーマンを粘土で表現できるか?
ピーマンの筋肉を美しくアクティブに表現できた人は評価が高くなります!と
生徒にはあらかじめ説明してからスタートします
驚くべきは
全く形を捉えられない 3次元に立体を作り出すことができない生徒と
最初から見事に大まかな美しいボリュームを捉えることができる生徒と
真っ二つにタイプが分かれることです
ある中学校では何時間かけても粘土を握り続けることしかできず
ヒョロヒョロと細長い巨大なシシトウみたいなピーマンや
上から下まで太さがおんなじで当然筋肉もゼロのピーマン
縦に平行に均一に三本の筋が入った定規で計ったような無機質なピーマンしか作れない生徒たちもいます
「筋肉大会」というワードが作品に全く反映されないわけですが
どうしても立体を作り出す、空間を把握する能力がない生徒は一定数必ずいます
しかし、その反対にピーマンの中にいとも簡単に入っていける生徒も奇跡的に現れます
今年度の、ある中学校ではクラスのほとんどの生徒が美しい筋肉ピーマンを作り出すことができました
毎時間自分のモデルさんをじっくりと観察し
モデルさんをリスペクトし続ける
モデルさんの声を聞き
モデルさんへの愛を粘土を使って見事に表現していくことができるのです
実はわたしもピーマンをモデルにして粘土で作ったことがあるんですが
びっくりするくらいしょぼい作品しか作れませんでした
恥ずかしいくらい作品にエネルギーが全く感じられなかった
ですからピーマンを
ピーマンの美しいボリュームを
ピーマンの持つエネルギーというかオーラというか・・・なんというか、そういうものを
とにかく粘土で一瞬で大まかにピーマンを把握できる生徒の能力の高さ、凄さに
ただただ脱帽するのであります
生徒の美しい人間性、内面がピーマンの形を借りてこの世に生み出されたこの作品たちを目の前にして
言葉を失い立ち尽くすわたしがそこにいるのでした
#毎日投稿
#ピーマン
#中学校美術