中学校で美術の非常勤講師をしています
中1の2学期にやる授業「一版多色摺り版画」を摺る際に必ず起こる
「色作りのドラマ」のお話をします
モチーフが自然物=花鳥風月故に
「有彩色を2色以上ブレンド」し、自然に近い美しい色を作らなくてはなりません
(ちなみに摺りの作業に入る前に私から色作りの基礎基本をしっかりと説明してからパレットに絵の具を出してもらいます)
その際に色作りができずに困っている生徒が必ず出てくるので、わたしも当然アドバイスをします
しかし…色作りが苦手な生徒は・・・というと・・・
ちょっと目を離した隙に、私と相談しながらやっと作ったその色を見事に潰してしまっているのです・・・
その代わりに、ちっとも美しくない残念な色をびっくりするくらい大量につくり、
パレットのすべての場所がその残念な色1色になって・・・・・途方に暮れているのです
「美しい色ができましたね」
「必ずこの色でこの場所を摺ってくださいね」
とわたしが言い残したのにも拘らず
「こんな色が美しい訳ない…」
と勝手に残念なジャッジをし、その色を殺してしまう…
こんな悲劇を見るたびにあまりのショックで言葉を失います
「わたしの言うことをすべて信じなさい」
とは言いませんが
少しくらいは耳を傾けて信じてはくれまいか…
美術が不得意な生徒は、何故かこのように余計なジャッジばかりしては自滅していくのです
この写真は現役中学生の版画作品です
彼は決して器用ではありませんが、とても素直な性格で、わたしの色作りの話をちゃんと聞いたうえで、
パレットにそれはそれは美しい色を沢山作り出していました
Sくんのパレットを見た瞬間、わたしはSくんの作品が大成功を収めることを200%確信したのでした
パレットを見れば作品の未来が分かるのです