色に現れる人間性

この世の中は沢山の美しい色で溢れています

色のセンス、色彩感覚というものは持って生まれたものなんだろうなあ・・・・

と美術の授業をしながらいつも感じています

わたしは普段は中学校美術の非常勤講師をしています

1年生のレタリングの授業「私が好きな言葉」で感じたことをお話します

版画作品を早く提出した生徒の余った時間を埋めるために、お楽しみでさせた課題でしたが

これがびっくりするくらい生徒たちに大好評の授業となりました

「私の好きな言葉」のルールの説明をします

①自分の好きな言葉を明朝体で描く

 レタリング字典を参考にしながら、自分の画用紙にも補助線を引き美しく模写をする

②自分の好きな言葉が思い浮かばない人は、レタリング字典の中から好きな漢字を2つ選び、美しく組み合わせて

 自由に造語をしても構わない

「自由に造語」

これが中学1年生を歓喜の渦に巻き込むこととなりました

まず、

わたしが知らない「推し」の名前を夢中になって何枚も描き続ける女の子が出現し

その他にも、

食いしん坊の男の子は「餃子」

歴史が好きな女の子は「陸奥」「紅誠」

数学が好きな男の子は「微積」

恋愛に興味深々な女の子は「恋花」

野球一筋な男の子は「打者」

宇宙と交信している女の子は「金鳥」・・・・・・

生徒たちが選ぶ漢字がまず面白くて

どれも非常に興味深くて・・・

まさか私までこんなに楽しめる授業になるとは夢にも思いませんでした🤣

そして

下描きが終わるとこれまた好きな色で着彩するんですが

色塗りもまたそれぞれの生徒ならではの特性が現れていて

また最高に面白い現象が生まれることとなるのです

実は、

生徒の色塗りを見ていて毎回すごく感じることがあります

それは

「形を捉えることが苦手な生徒ほど豊かな色を作り出すセンスを持っているということ」

反対に

「形を捉えることが得意な生徒ほどノーマルな色彩センスを持っているということ」

これは25年間美術の非常勤講師をやってきたわたしがずーっと前から感じていたことです

(ごくたまに、ですが、形を捉えることも、豊かな色彩感覚も両方とも持っている超天才も現れます)

形を捉えることがあまり得意ではない一人の男子生徒が色塗りを始めた時

あまりの美しい配色に、衝撃を受けました

その男子生徒の好きな言葉は「嵐龍」

「嵐」は背景色が本場京都の宇治抹茶ケーキのような渋い鶯色、嵐の文字本体はこれまた美味しそうなあずき色の配色

「龍」は背景色がダークバイオレット、文字本体の色は嵐とおんなじあずき色で塗っています

嵐を有名甘味処の人気メニュー「あずき&濃厚抹茶創作スイーツ」みたいにして

隣の龍は明度も彩度も似かよった色にしてあまり文字が目立たないけど、これはこれで渋くてオシャレにしている

スイーツみたいな嵐の隣に渋くて目立たなくて辛口のカクテルのようなカッコイイ龍を並べるセンスを持つ男子生徒は

外見はとても幼くて気分屋さんなのに、内面は豊かさと大人っぽさが同居しているナイス・ガイだったのです

色一つとってもその人がどんな内面を持っているのかまで分かってしまう

これがまさに美術の面白さであり、

この学問の深さでもあると再認識できたお話でした

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