中学校美術の非常勤講師を20年以上やっています。
特にこだわりが無く、あっという間に作品を作り、時間を持て余す生徒が必ずいます。
その生徒に出すいい課題があります。
4コママンガです。
マンガのテーマは私が決め、いくつかのルールを設けます。
①棒人間でオッケー
②セリフ無しでもオッケー
③セリフを入れる場合は読みやすく書く
④オチはなくていい
これだけです。
最初は面白いものや上手なものを描こうとして苦しそうな生徒たちが
自分の素を出せばいいのだということが分かり、ノリノリになって描いていきます。
このマンガを描かせるとその生徒の本質が見えてきてとっても面白いです。
不真面目で問題のある生徒が実はとても真面目で家族思いだったり、
集中力が全然続かない生徒が実はものすごい大人の笑いの感性を持っていて
プロとして生きていけるようなセンスを持っていたりします。
私にどうしても心を開かない女子生徒は
自分の胸の内を素直にマンガに表現していました。
恥ずかしいのか、なかなか提出しに来ないので、
私から席まで見に行って、思わず
「素敵なマンガだね」
と言ったら、心の底から安心したような目になり、少しだけ微笑みました。
マンガを通して初めてその生徒とコミュニケーションを取ることができたのです。
マンガは究極のアウトプットであり、生徒との信頼関係をより強くしてくれる最高のツールです。
ニコニコしながら私にマンガを持ってくる生徒の顔を見て
「どれどれ、もう描いてきたの?すごいね!」
マンガを見ている私と私の顔をじっと見ている生徒。
2人だけの至福の時間です。