神は細部に宿る

中学校美術の非常勤講師をやっております。

写真は1年生の一版多色摺り版画作品(部分)です。(版画のカエルの体長は13センチほどです)

この版画の作り方は

最初に描く下絵から徹底的に美しく描いてもらい

それをシナベニヤ板に逆さにしてカーボン紙で転写し

それを彫刻刀で線彫りしてもらい

その板に黒い版画用紙を貼り有彩色で擦ってもらうという・・・・

気の遠くなる作業工程を経てやっとの思いで出来上がる世界に一枚だけの版画作品です。

色作りの指導は最初にしますが、基本をベースにして、あとは生徒一人一人がアレンジしていく版画となります。

彼女は天才的な勘と技術力でこの見事にリアルなカエル🐸を擦り上げました。

カエルの目玉、お腹、ほっぺた・・・

それぞれの一番膨らんでいるところに絶妙なハイライトを入れているのが分かります。

関節や口元、細部の至る所に実に繊細で効果的な色を用いて美しく摺りあげているのもよく分かります。

神は細部に宿ると言いますが(ちょっと意味合いはちがうかもしれませんが)

明らかに彼女の身体の中に 版画の神様が入り込んで彼女を全力でサポートしていました。

それ故によりリアルな 画面から飛び出してきそうなカエルが誕生しました。

カエルのボディにはっきりと木目が摺り取られているのも感動です。

美しい木目を表現できることは簡単なことではないからです。

カエルのヌメリ感や重さ、鳴き声まで聞こえてきそうです。

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